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[ 595] 福田ビジョン:「サミットで主導権」意識 排出量取引、EUに対抗心 - 毎日jp(毎日新聞)
[引用サイト]  http://mainichi.jp/select/science/news/20080610ddm002010070000c.html

福田康夫首相が9日発表した地球温暖化対策は、国内排出量取引について「今秋の試験的導入」に言及したほか、温室効果ガス削減の中期目標でも来年中の策定を表明し、従来の慎重姿勢から半歩踏み込んだ。1カ月後に迫った主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)議長国として主導権を発揮するには、これらの課題で日本の態度表明が避けられないと判断したためだ。
ただ、首相は中期目標について「政治的プロパガンダみたいな目標設定ゲームに時間を費やす余裕はない」と主張。数値目標を先行させるEUの手法を暗に批判した。産業別に排出可能量を積み上げる「セクター別アプローチ」を首相が主張し続けるのも、排出量削減の根拠にこだわらなければ、高い省エネ技術を持つ日本が今後の交渉で不利になるとの危機感によるものだ。
今回のビジョン策定にあたり、首相は外務、経済産業、環境各省の関係閣僚協議など事前の調整を排し、首相官邸のわずかなスタッフで内容を決定。「首相主導の方針転換」を印象付けようとした。
数値目標が先行する国際社会の流れに「待った」をかけたいのが首相の意向だが、EUなど他のサミット参加国が日本の「土俵」に乗る見通しは立っていない。【高山祐】
「福田ビジョン」の目玉である国内排出量取引制度は、経済界に反対論が根強い。日本経団連は「制度は政策手段の一つの選択肢に過ぎず、慎重かつ徹底的な議論が重要」と早くもけん制している。
EUが05年に始めた排出量取引制度は、個別の企業に温室効果ガス排出量の上限(排出枠)を割り当て、実際の排出量との過不足分を市場などで取引するもの。これに対し、福田ビジョンの排出量取引は、当面、企業の自主的な参加を想定しているとみられ、企業側に一定の配慮をした形だ。
だが電力業界は「強制的な排出枠設定には引き続き反対」(電気事業連合会)と警戒感を強めている。制度導入には経済界の協力が不可欠だが、配慮しすぎると制度の骨抜きにつながりかねない。
しかし、05年に日本は90年比で排出量が7・7%増えていたのに対し、EUは90年より着実に減らしていた。自らに都合のいい基準年に日本がこだわれば、EUなど各国からの反発は必至だ。G8サミットNGOフォーラムの鮎川ゆりか副代表は「基準年を動かしてごまかしたに過ぎない。途上国などはサミットで、日本が真剣だというメッセージは受け取らないだろう」と批判している。【平地修、山田大輔、足立旬子】
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